アトピーについて学ぶ①アトピーの基礎知識〜ワーママのアトピー知識収集録〜
私は生後6ヶ月の頃からアトピーと診断され、軽症から中程度の症状を行ったり来たりして30年以上アトピーと付き合っています。
自身のアトピーで悩んでいましたが、子供もアトピーと診断されたことがきっかけで、1からアトピーについて勉強し治すことにしました。
最新の研究や治療について学びなおし、子供のアトピーを悪化させない、そして将来子供が自分自身でアトピーをコントロールしていけるよう、バックアップしていきたいと思ったからです。
同じような悩みを持つ方の参考になればと思い、自身の備忘録として残す為にもここに書きたいと思います。
〈目次〉
1.アトピーの定義
2.アトピー治療のゴールとは
3.アトピーの重症度の定義
4.重症度に合わせた治療法
5.まとめ
1.アトピーの定義
まず、そもそもアトピーの定義とは何か、はじめの一歩として確認しました。
いくつかわかりやすいものから抜粋すると下記のように説明されています。
アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気
→国立研究開発法人:国立成育医療研究センターHP
アトピー性皮膚炎とは、アレルギー体質の人に生じた慢性のかゆい湿疹
→「小児科受診ハンドブック」医療法人ナイズ
ポイントは慢性的に湿疹が繰り返すという点。
治ったと思ってもまた湿疹ができる。
それはなぜなのか。次の「2.アトピー治療のゴールとは」へ続きます。
2.アトピー治療のゴールとは
様々な研究結果から、アトピー患者には皮膚のバリア機能が低いことがわかっています。
それって具体的にどういうことなんでしょうか。
公益社団法人:日本皮膚科学会と一般社団法人:日本アレルギー学会が出している『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018』に記載されていた内容から一部抜粋してまとめると、
・角層の異常
角質細胞間脂質の主成分の1つにセラミドという成分がある。
アトピー患者はセラミドが異常に少ない為、角質細胞間脂質の機能が低下し、皮膚の水分保持力が損なわれている
・表皮の異常
表皮とは皮膚のバリア機能を果たしているところ。
表皮細胞間に隙間がないようにするための構造があるが、アトピー患者はその構造に重要な役割を持つ物質が低下していたり、健康な表皮にみられない型の細胞間接着構造がみられる。
要するに、アトピー患者は皮膚バリアに必要な細胞の成分に異常がみられるということ。
これは遺伝等による体質の話で、それを治療する方法が見つかっていない為、アトピーは未だに完治できない皮膚疾患とされています。
ネットなどでアトピーが治った!と言ったことも書かれていたりしますが、現在の医学ではアトピー体質を治すことができない為、そういった人たちは寛解(適切な治療により症状がコントロールされた状態が長く維持されて症状がなくなること)したと解釈すべきなのでしょう。
体質は変わらない為、良くなっても、何かがきっかけで再び悪化することもある、というアトピーとは厄介なものです。
よってアトピー治療のゴールは、完治ではなく、症状をコントロールし、症状がなくなる、または出ても軽症で済むような状態に持っていくことになります。
具体的には、一般社団法人:日本アレルギー学会が作成しているサイト『アレルギーポータル』によると、
①症状がないかあっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達・維持すること、②軽い症状は続くけれども急激に悪化することはまれで、悪化しても症状が持続しないこと
を治療の目標とする、としています。
アトピーとうまく共存していくことがゴールということです。
また、そのゴールを目指し、大きく分けて3つのアプローチが必要とされています。
①薬物療法、②皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア、③悪化因子の検索と対策を三本柱として治療を進める。
→日本アレルギー学会:アレルギーポータル
3つのアプローチについては、別記事で掘り下げたいと思います。
3.アトピーの重症度の定義
アトピーの治療方法は重症度によって異なります。
では重症度とはどのようにわけているのでしょうか。
公益社団法人:日本皮膚科学会と一般社団法人:日本アレルギー学会が出している『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018』によると、
・軽症
面積にかかわらず軽度の湿疹のみ
・中等症
強い炎症を伴う湿疹が体面積の10%未満
にみられる
・重症
強い炎症を伴う湿疹が体面積の10%以上
30%未満にみられる
・最重症
強い炎症を伴う湿疹が体面積の30%以上
にみられる
強い炎症を伴う湿疹が一部でもあれば中等症以上となるとのことです。
自分や自分の子供のアトピーで、重症度がわからない場合には、病院で先生に聞いてみると良いかもしれません。
4.重症度に合わせた治療法
ではそれぞれの重症度に合わせた治療は具体的にどうすれば良いのか、
「小児科受診ハンドブック」(医療法人ナイズ)に記載された内容が具体的で分かりやすかったので、そこから抜粋します。
・軽症 → リアクティブ療法
皮膚炎の面積が狭く、炎症もあまり強くない場合、ステロイドを速やかに塗って、皮膚がつるつるすべすべになるまで1日1〜2回
塗り続け(約1〜2週間)、治ったら保湿剤を継続する。
・中等症〜重症(プロアクティブ療法)
皮膚炎の面積が広く、炎症も強いときには、ステロイドを毎日2回塗り、皮膚が綺麗になったあとも、2日に1回、3日に1回と、ステロイドを時々塗りながら、再燃を予防しつつ徐々にステロイドを使用しない日を増やしていく。
皮膚の状態をみながら計画的に行う必要があり、1〜2週間ごとに通院し、こまめに状態を見ながら医師の指示に基づいて塗り方を調整していく。
重症度にかかわらず、ステロイドの量は少なくしたりせず、たっぷり湿疹に載せること(擦り込まない)も重要と、よく言われます。
ステロイドを怖がって、自己判断で誤った使い方をしないことがポイントです。
一般社団法人:日本アレルギー学会が作成しているサイト『アレルギーポータル』には、
アトピー性皮膚炎を長期間にわたって調べたデータによると、年齢とともにある程度の割合で寛解することや、症状が軽い患者さんほど寛解する割合が高いこともわかっています。
とあります。
症状が悪化しないよう、ステロイドとうまく付き合っていくことが、寛解に繋がる可能性を高める為、特に子供のアトピーでは先生と連携しながら治療していけると良いなと思います。
5.まとめ
今回は第1弾のため、アトピーの基礎知識について記載しました。
アトピーと長年の付き合いの方は知ってる知識だと思いますが、改めて振り返ることができ、私としては調べ直して良かったと思いました。
第2弾では少し踏み込んだ内容について記載します。